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ソビエト社会主義革命後のポスター (一橋大学ニュース表紙 2002 年 9 月) 

ソビエト社会主義革命後のポスター

(請求記号 VKp-39)

 

1917年の革命は、それまで劇場用や展覧会用の宣伝ポスターしかなかったソ連に、社会主義建設を目標とする政治的ポスターをもたらした。資料室は政治的ポスターの草分けD.ムーアの『プロレタリアよ、守備につけ!』(1930)、線描画家A.ストラホフの『わが祖国コムソモール』(1928)、『レーニンの仕事を後退させるな』(1929)等を含め、45点の政治的ポスターを所蔵している。その大部分は、大規模な農業集団化の方針が決定した1930年に制作された、コルホーズ農民にたいする社会主義啓蒙ポスターである。

『農婦よ、コルホーズへ行け!』(1930)(左上写真)

農婦が、酔っ払いや聖職者をふりきって、道標に「コルホーズへの道」としるされた道を素足で歩いていく。遠くに見えるコルホーズ農場には虹がかかっている。

グスタフ・クルツィス 『社会主義建設をレーニンの旗の下に!』(1930)(左下写真)

所蔵作品中特筆すべきは、ラトヴィア出身の芸術家グスタフ・クルツィス(1895-1938?)の、フォトモンタージュによるポスター『社会主義建設をレーニンの旗の下に!』(1930)である。フォトモンタージュ(写真合成)は、広告的形式主義芸術として発展したアメリカとは異なり、政治的ポスターに用いられることによってソ連独自の発展をとげ、大衆芸術の新分野を開拓した。事実の正確な記録である写真は、それまでの線画では達し得なかった大衆への影響力をもっていた。クルツィスは1919年にソ連初のフォトモンタージュ作品を発表した後、多くの政治的ポスターを制作し、レーニンに対する崇拝と、社会主義建設にはげむ大衆の期待を表現している。しかしながら彼もスターリンの粛清をまぬがれなかった。