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ロシアにおけるユダヤ人関連資料 (一橋大学ニュース表紙 2001 年 9 月) 

ロシアにおけるユダヤ人関連資料

(請求記号 VOc, VPc)

 

不思議なことに、研究所はロシア革命前後に出版されたユダヤ人に関するロシア語資料を多数所蔵している。1772年に始まるポーランド分割によって約700万人のユダヤ人が移住して以来、ユダヤ人問題はロシアでも未だに解決をみない古くて新しい課題である。

19世紀末から革命後にかけてロシアではポグロム(ユダヤ人を狙った集団略奪・虐殺)が多発した。社会主義革命直後、ペトログラード労働者・赤軍兵士代表ソヴィエトのパンフレット『ユダヤ人、階級闘争とポグロム』(1919)(VOc-155)は、ポグロムを激しく非難し、社会主義者は民族間に階級闘争を認めない、と力強く訴えている。社会民主党員だった作家ゴーリキーは『ユダヤ人について』(1919)(VOc-37)で「…今再びロシア人の心に、ユダヤ人に対する怠け者の羨望と憎悪が膿を持っている。ユダヤ人は生き生きとして活動的な民族であり、あらゆる生活分野において鈍重なロシア人を追い抜いているのは、彼らが働く能力を持ち、働くことが好きだからである」とユダヤ人を評価する一方、裕福な商人は100人中8人、などとユダヤ人でも立場が様々であることを示し、ロシア人の理性に訴えかけている。同時期のものは他に A.ルナチャルスキイ翻訳の『ユダヤ人問題に対して』K.マルクス(1919)(VOc-10)、『ロシアにおけるユダヤ人』N.S.レスコフ(1919)(VOc-12)などがある。

20年代以後の資料としてはS.M.ドゥブノフの『ロシアと西ヨーロッパにおけるユダヤ人』(1923)(VOc-11)、ユダヤ人の歴史を世界的にたどる彼の大著『古代から現代までのユダヤ民族の全世界的歴史』(全10巻,1936-1939)(VOc-65)等、また思想家ローザノフの『ユダヤ人の血に対する嗅覚と触覚の関係』(1932)(VOc-13)という異色作もある。

革命以前の所蔵資料は『ユダヤ人の伝説』I.B.レウネル(1903)(VPc-11)、『中国におけるユダヤ人』パールマン(1909)(VOc-83)、『ユダヤ人と現代経済形成への参加』V.ゾンバルト(1910)(VOc-15)等。