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論文要旨

Vol. 70, No. 3, pp. 227-246 (2019)

『われわれは福祉国家の「現実的ユートピア」を描けるだろうか --原爆被害者運動を手がかりとした日米比較分析の視座--』
後藤 玲子 (一橋大学経済研究所)

日米福祉国家の比較は,「結果の保障」(日本)か「機会の実質的保障」(アメリカ)か,あるいは,「無条件的で普遍的な保障」(日本)か「多様性を尊重する保障」(アメリカ)かといった異なるリベラリズムの考え方を対照させる.とはいえ,両者はいずれも,経済的モニズム(貨幣的一元化)の論理の徹底化において共通する.本稿の目的は,戦後日本のノーモアヒバクシャ運動を手がかりとして,経済的モニズム(貨幣的一元化)に抗する視点を抽出すること,それをもとに,日米福祉国家を再構築するヒントを探り当てることにある.