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論文要旨

Vol. 68, No. 4, pp. 324-347 (2017)

『日本における映画投資のフロー及びストックの試算』
外木 暁幸 (東洋大学経済学部), 木村 めぐみ (一橋大学イノベーション研究センター), 小松 怜史 (内閣府経済社会総合研究所), 大竹 暁 (内閣府経済社会総合研究所)

国民経済計算の国際基準である2008SNAでは,映画を含む「娯楽,文学,芸術作品の原本」を固定資産として取り扱うことが勧告されている.しかし,我が国においては,基礎統計の制約により知的財産生産物には計上していない.「娯楽,文学,芸術作品の原本」のうち,本稿では映画資本に着目し,映画制作の実態等の情報収集・整理を行った.これを受けて,特定サービス産業実態調査の個票を用いてコスト積上方式による映画資本投資の推計を試みたが,映画制作業の売上の推移と比較して不安定な系列しか得られなかった.次に,Soloveichik (2013)の方法に準拠して映画興行収入,ソフト売上のデータから割引現在価値方式による映画資本投資の推計を行った.2015年の日本の映画投資の対GDP比率は約0.017%,映画資本ストックの対GDP比率は0.16%程度で,それぞれ米国の同比率と比較してかなり低いことが明らかとなった.