なぜ多数決の結果に少数派は従わねばならないのか.その正当な理由が発生するのは,いつ,いかなるときか.これは多数決の利用における規範的根拠を問うものである.本稿ではコンドルセによる陪審定理,およびその思想的支柱としてのルソー『社会契約論』を軸に,そうした根拠を考察する.陪審定理以外の正当化の可能性についても論じる.