論文要旨

Vol. 66, No. 2, pp. 127-144 (2015)

本論文では，47都道府県に関して４つの月次の共通指標から景気動向指数(CI)を構築し，全国と比較した地方景気の先行・遅行といった跛行性の特色を探る. このため全国CIの時系列的なパターンに各都道府県CIのパターンを対応付ける「DPマッチング」の手法を導入する. 都道府県別CIの全国CIへの当てはめは一部の県で乖離が大きいものの，概ね良好な推計結果が得られた. 都道府県ごとの景気変動を見ると，跛行性によってもたらされる変動の割合は主要なものではなく，水準の違いによる変動が大きな割合を占めている. 跛行性の分析では，総じて特定の都道府県が常に先行性や遅行性を示すことはなく，景気循環ごと，あるいは拡張期か後退期かの局面によって，ある時は全国に先行し，またある時は全国に遅行するといったような不確定性を持つことが示唆された.