サブサハラ・アフリカ諸国は長期にわたり経済が停滞した後、2000年代になって経済成長を始めた。しかし農村の貧困削減は十分には進展していないとされている。本論文は30年にわたる農家家計調査が利用できる西アフリカの内陸国のブルキナ・ファソを取り上げ、長期にわたる農家の所得向上のメカニズムを検討した。調査対象家計の貧困率は、1980年から2000年にかけて70%程度で変化がないが、2010年には50%になった。過去10年間では農業所得が金額も農家所得に占める比率も伸びており、農業が所得向上の原動力となっている。しかし、近年になり、農業所得に関して土地の収益率は低下しており、教育の効果も消えてしまった。他方で、土地や教育が非農業所得を高めるように変化している。このことは、ブルキナ・ファソの農村の経済発展においても、農業から非農業へのシフトが始まっていること、教育が重要な役割を果たす可能性を示唆する。ただし、この転換を持続的にするためには、農業生産性の維持することが必要である。