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論文要旨

Vol. 63, No. 2, pp. 128-142 (2012)

『ロシア経済と石油』
久保庭 真彰 (一橋大学経済研究所)

本稿では,ロシア経済と石油,特に国際原油価格(油価)との関係について,通時的かつ横断的な比較分析を試みる.まず,現代ロシア経済(1995-2011年)の主要マクロ変数が油価変動の強いインパクトを受けていることをみる.次に,石油輸入国である中欧諸国(1995-2010年)について,成長と油価の関係をみる.ロシアの成長は,油価→交易条件・交易利得という連鎖によるが,中欧の成長は,油価→対ロシア輸出,エネルギー利用効率という連鎖によることを示す.最後に,1960-1990年のソ連・ロシアにおける成長・油価・石油生産の関連を調べ,成長に大きく寄与したのは油価ではなく,石油産出だということを示し,現代ロシアの特殊性を浮き彫りにする.また,ソ連と現代ロシアの資源利用効率の比較分析により,以降の合理性を示す。