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論文要旨

Vol. 62, No. 4, pp. 356-371 (2011)

『Homescanによる家計別の物価変化率の特徴』
阿部 修人 (一橋大学経済研究所), 塩谷 匡介 (日本銀行名古屋支店)

日本における3年分の家計・商品単位の日次スキャナデータを用いて、様々な手法に基づき家計レベルの物価変化率を計測した。主要結果は下記の四点である。第一に、年次データを用いる場合、実際に家計が購入した商品価格の情報を用いることで、標準的な物価指数構築の際に使用されるような、カテゴリー代表価格を用いるよりも適切な物価変化率を計測することが可能になる。第二に、作成手法に依存せず、家計別の物価変化率は、家計間で大きな差が観測される。第三に、物価変化率を家計属性ごとにみると、年齢間の差は観察されないが、所得の高い家計ほど物価変化率が高い。第四に、ラスパイレス指数とパーシェ指数を比較すると、年率1%程度の差が観察され、同一カテゴリー内での個別財間での下位代替が深刻である可能性が高い。