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論文要旨

Vol. 61, No. 4, pp. 302-310 (2010)

『辞書式組合せに基づく折衷法と社会的判断における整合性』
坂本 徳仁 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所)

相互に両立不可能な基準が存在するときに、経済学者はそれらの基準を辞書式に組合せることによって折衷する手法を開発してきた。しかしながら、Tadenuma (2002) が明らかにしたように、辞書式組合せに基づく社会的ランキングの下では集団的合理性の条件を逸脱してしまう事態が発生する。本稿は、Tadenuma (2002) の結果を踏まえた上で、一般の環境の下で任意の準順序及び順序を辞書式に組み合せた際に、(1)準順序を優先する辞書式ランキングは必ずしも非循環性を満たさないこと、(2)順序を優先する辞書式ランキングは準推移性を満たすことを示した。さらに、(3)準順序を優先する辞書式ランキングと順序を優先する辞書式ランキングの各々が推移性を満たすための必要十分条件を明らかにした。