経済主体が持つ情報に不完全性があることが想定されたマクロ経済モデルに関する研究は2000年代に入り再び活発に行われ,それまでの研究では得ることのなかった多くの知見が蓄積されている.本稿では,その中でも共有知識の不完全性に焦点を当てた理論研究に関して,戦略的補完性や高次の予想などの重要な概念を解説した後,特に金融政策と政府の情報公開の問題を中心に近年の成果を紹介し,また今後の課題について考察する.