近年,様々なパネルデータが利用可能になったことを受けて,パネル計量経済分析は方法論においても実証研究においても大きく進展している.本稿ではそれらパネルデータ分析のサーベイを行うが,全てを網羅するのは難しいので,方法論についてのいくつかの話題を抜粋してサーベイする.比較的簡単なパネルデータモデルを使うことでパネルデータ分析の意義を明確に紹介すると共に,具体的な手法の使い方とその計量理論的・経済学的背景を簡潔にまとめるのが本稿の目的である.