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論文要旨

Vol. 59, No. 2, pp. 164-186 (2008)

『北米における政府統計個票公開の現状に関する調査報告―米国労働統計局,米国センサス局およびカナダ統計局のオンサイトリサーチを中心に―』
神林 龍 (一橋大学経済研究所)

欧米各国は政府統計個票の公開に際し,プライバシーの確保と利便性の追求とのトレード・オフに直面した結果,オンサイトリサーチと呼ばれる個票利用方法を編み出した.この方法は,特定の場所に設置された特定端末から直接各統計部局のデータ・サーバーにアクセスする.利用可能な場所が極度に制限され,物理的にデータの持ち運びが不可能なものの,固有名が落とされただけの,ほぼ調査個票原票に近い情報を利用することができる点有用とされる.本論文では,アメリカ合衆国労働統計局,同センサス局,カナダ統計局において設置・運用されているオンサイトリサーチの状況を報告する.特に法的な観点および利用に至るまでのプロセスに注目し,彼の地でのオンサイトリサーチの運用実態を明らかにする.