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論文要旨

Vol. 58, No. 4, pp. 352-373 (2007)

『Realized Volatility―サーベイと日本の株式市場への応用―』
渡部 敏明 (一橋大学経済研究所)

資産価格の高頻度データが利用可能になるにつれ,日中リターンの2乗を足し合わせた Realized Volatility (RV)がボラティリティの精度の高い推定量として注目を集めるようになってきている.本稿は,こうしたRVに関する研究についてサーベイを行ったものである.RVの変動を表す時系列モデルにはARFIMA(X)モデル,HARモデル,UCモデルなどが提案されており,本稿ではそうしたモデルについても解説を行っている.また,日経225株価指数の日次RVを計算し,それにそうした時系列モデルを当てはめた場合と,従来のように,日次リターンにARCH型モデルを当てはめた場合とで,ボラティリティの予測精度の比較を行っている.さらに,最近のRVの研究はさまざまな方向に発展が見られるので,そうした新たな発展についてもサーベイを行い,今後の研究課題を探っている.