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論文要旨

Vol. 58, No. 3, pp. 246-262 (2007)

『転換点のロシア経済成長―供給サイドと所得サイド―』
久保庭 眞彰 (一橋大学経済研究所)

本稿は,転換点にあるロシア経済の成長を供給サイドと所得サイドの両面から分析することを主要なテーマとした試論である.まず,ロシア経済成長の油国際市場価格の動向への依存という側面と,独立性という側面をもつことを確認する.次に,伝統的成長会計によって供給サイドの考察を行う.これは,(1)Goldman-SachsのBRICsレポートの批判的考察,(2)独自のデータ構築にもとづくマクロ成長会計分析,(3)再編成された産業連関表と資本ベクトルを利用した多部門成長会計分析から成る.さらに,倉林・クルビス・ステューヴェル・作間による交易条件効果の議論を理論的に整理し,ロシアにおける所得(GDI)とGDPの成長連関を実証分析する.最後に,供給サイド成長予測からみると,ロシア経済が高成長を持続する潜在力を有していることを示唆する.