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論文要旨

Vol. 57, No. 1, pp. 16-29 (2006)

『経済改革の企業規模と生産性への影響―中国工作機械企業に関する実証分析―』
劉 徳強 (東京学芸大学人文社会科学系経済学分野)

Otsuka Liu and Murakami(1998)の中国の工作機械企業に関する先行研究によると,市場制度改革が大きく進展した1990年代初め頃において,小型企業ほど積極的に部品購入を行い,企業間分業の利益を享受したために,工作機械企業の間では顕著な規模の不経済が発生した.その後中国では企業制度改革が本格的に行われたため,工作機械企業の規模や生産性がどのようになったのかは興味深い問題である.本研究では,1992年に調査した工作機械企業に対する追跡調査を実施し,新たに収集した企業レベルの資料を利用することによって,この問題を分析することにした.それによると,1992年以降,中国の工作機械企業においては,企業の統廃合や人員削減が急激に展開されるようになり,その結果として,かつて存在していた規模の不経済が解消されることになった.