HOME » 刊行物 » 経済研究

論文要旨

Vol. 56, No. 4, pp. 317-330 (2005)

『市町村合併による歳出効率化と地方交付税削減―合併に関する意思決定を考慮した政策シミュレーション―』
竹本 亨 (明海大学経済学部), 高橋 広雅 (広島市立大学国際学部), 鈴木 明宏 (山形大学人文学部)

市町村運営においては規模の経済が存在しているため,適切な合併を通してパレート改善が可能である.本稿は,国が"planner"としてルールを設計することで"agent"である地方の最適化行動をコントロールするような状況を想定し,合併による国及び市町村の財政赤字緩和の効果を分析する.そのためにまず,データに基づいた全国規模での市町村合併のシミュレーションを行う.そこでは合併しない場合,地方全体での歳出を最小にするように合併させた場合,各市町村の意思決定が存在する場合を比較し,改善効果を計測する.次に,地方交付税制度の変更が市町村の財政効率化に与える効果について論じる.これにより,効率化に寄与する行動をとる動機を市町村に与えるような制度改革の方向性を明らかにしている.