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論文要旨

Vol. 54, No. 4, pp. 327-335 (2003)

『アジアにおける地価形成』
加納 悟 (一橋大学経済研究所)

わが国では、土地はリスクの少ない、値上がりが確実な資産とみなされてきた。土地を資産と考えると、そこには通常の資産にはない選択権が付随していることがわかる。この選択権は、わが国の地価変動を説明する重要な要因と考えられる。アジア諸国においては、国民の土地に対する考え方が似ており、わが国同様土地を有利な資産とみなし好んで所有する結果、その地価形成にも似たメカニズムが働いているのではないだろうか。これに対し、アジア以外の国々では土地の利用が重視されるため、地価の動きも異なるのではないだろうか。本稿ではこのような推測に基づき、東アジアの諸都市における地価動向の類似性を実証的に検討する。