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論文要旨

Vol. 54, No. 3, pp. 193-205 (2003)

『成果主義的賃金制度と労働意欲』
大竹 文雄 (大阪大学社会経済研究所), 唐渡 広志 (富山大学経済学部)

本論分では、成果主義型の賃金制度への変更が労働者の労働意欲にどのような影響を与えるかについて、計量経済学的な分析を行った。分析の結果、成果主義的な賃金制度の導入そのものは、平均としては労働意欲に影響を与えていない。しかし、ホワイトカラーにおいては働き方を成果主義に見合った形へ変更した場合には労働意欲の向上がみられる。また、賃金水準が高い労働者や賃金引上げが行われた労働者の労働意欲は高まっている。さらに、企業が成果主義的に賃金制度を変更したことと労働者が賃金制度は成果主義的なものになったと感じることはほとんど無関係である。多くの労働者は、自分の賃金が高くなっている場合に成果主義的な賃金制度になったと感じている。