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論文要旨

Vol. 54, No. 1, pp. 74-93 (2003)

『パネルデータ分析の新展開』
北村 行伸 (一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センター)

本論文では最近のパネルデータ分析の考え方、その意義、手法についてサーベイを行い、後半でパネルデータ分析の応用例を紹介する。パネルデータ分析の重要な点は、第一にデータの性質に応じて適切な分析手法を選択すべきであると言うこと、第二にパネルデータ分析手法選択にあたっては各種の検定テストを徹底的に行って、できるだけ頑強な推定を行うべきであるということ、第三にパネルデータは一般に不完備であるが、情報量を失うことのないようになるべくデータを利用する方法を考えるべきであるということ、第四にミクロ経済学の理論を直接検定することによってミクロ経済理論へのフィードバックを行うことができるということである。最後に、パネルデータを上手に利用すれば理論と整合的な政策分析が可能になるし、逆に政策分析にはパネルデータが不可欠になると言うことである。