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論文要旨

Vol. 54, No. 1, pp. 60-73 (2003)

『CPI鉄道運賃の品質調整と鉄道業の生産性への影響』
宇都宮 浄人 (一橋大学経済研究所)

消費者物価指数(CPI)の計算誤差の一つとして、品質向上分が十分調整されていないと言う問題が存在する。昨今、パソコンなどの財について、ヘドニック・アプローチの実用化が進んでいるが、サービスについては、そうした手法を用いた品質調整がなされず、CPIの上方バイアスが生じているものと思われる。本稿では、CPIサービスのなかでも比較的ウェイトの高いCPI鉄道運賃について、混雑緩和、速達性の向上といった品質面の変化を調整した指数を試算し、さらに、そこで求められたCPIを用いて、鉄道業の実質輸送サービスとTFPを計算する。この結果、品質調整によってCPI鉄道運賃は大きく低下し、TFPで見た生産性は、近年の労働投入の減少もあって、JRは高い伸び、JR以外の民鉄も回復基調にあると言うことが示される。