TFP成長率は、日本経済における1990年代までの発展、および1990年代に入ってからの低迷の、いずれにおいても重要な役割を果たしている。TFP成長率を決定する主要因として、内生的技術進歩理論では、R&D投資とそれに伴う知識のスピルオーバーを挙げている。本稿では、これら2つの要因が、実際に観察されたTFP成長率を決定する上でどの程度重要であったかを分析する。1968-96年の日本の製造業16分野のデータから推定した結果、産業におけるR&Dと、純粋な知識のスピルオーバーによって、TFP成長率の約60%が説明されていることが示された。さらにこれら2つの要因は、1990年代においてよりいっそう重要な決定要因となっている。