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論文要旨

Vol. 52, No. 4, pp. 333-347 (2001)

『ハンガリーにおける外国直接投資(FDI)再論』
西村 可明 (一橋大学経済研究所)

これは『経済研究』1998年10月号に掲載された拙稿の続編である。そこで検討したハンガリーにおける外国直接投資の動向を再検討することが、本稿の目的となる。再検討が必要なのは、一つには、ハンガリーが1990年代にFDIの流入を移行経済の中で最も多く享受し、巨大な外資系企業セクターが形成され、ハンガリー経済発展に対するその影響が無視しがたいほど大きくなったからである。また、前稿では、95年頃までのデータしか検討出来なかったため、近年顕在化してきた新たな動向を考察する必要があるからでもある。ここでは、FDIのハンガリーへの流入状況が概観され、その上で、国際収支、外国貿易、経済構造に対するその影響が吟味される。そして、外資系企業セクターとハンガリー人企業セクターへのハンガリー経済の分裂という、深刻な二重構造の問題の存在が明らかにされる。