本稿では「家計調査」収録の費目別消費データに基づいて、余暇と消費の間の弱分離性を統計的に検証する。弱分離性が棄却されれば、余暇水準は支出行動に直接的な影響を及ぼすことになる。われわれは、条件付き需要関数に基づき、家計にとって余暇水準が与えられた下で、家計の支出行動に検討を加えた。実証分析の結果、総支出弾力性は余暇時間の大きさに依存することが明らかとなり、消費と余暇時間の間の弱分離制は棄却された。消費サービスを享受する行為に時間が必要とされる「教養・娯楽」、「住居」といった費目への総支出弾力性は、余暇時間が増加するにつれて上昇する傾向が観察される。逆に、労働と密接に結びついて消費費目である「被服及び履物」、「保険医療」といった費目への総支出弾力性は、余暇時間の増加につれて低下していくことが見いだされる。