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論文要旨

Vol. 51, No. 4, pp. 337-345 (2000)

『混雑効果を伴う貿易不可能な情報ネットワークとその貿易パターンへの影響について』
市川 哲郎 (前一橋大学経済研究所)

本稿では混雑現象が発生する各国、各地域毎に形成される情報ネットワークを明示的に導入した貿易モデルを構築し、情報ネットワーク費用が貿易パターンにもたらす影響を検討する。この時、均衡が存在する場合一意かつ安定である閉鎖経済から2国間で貿易が開始されると、ネットワーク費用のパラメータと各国の要素賦存量に依存して相対的に要素賦存量が豊富な国に差別化財の生産が集中し残る1国が同質財に特化するような均衡と、両国とも上完全特化するような均衡が出現することを示す。すなわち、情報ネットワーク利用者の増加による混雑現象に起因する各企業あたりの情報ネットワーク費用負担の増加がネットワーク外部性に起因する情報ネットワーク費用負担の軽減を上回る時、両国間で産業内貿易が発生するような均衡が出現する。