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論文要旨

Vol. 51, No. 4, pp. 289-300 (2000)

『縦覧点検データによる医療需給の決定要因の分析―国民健康保険4道県について―』
鴇田 忠彦 (一橋大学大学院経済学研究科), 山田 武 (経済学部/千葉商科大学), 山本 克也 (国立社会保障・人口問題研究所), 泉田 信行 (国立社会保障・人口問題研究所), 今野 広紀 (一橋大学大学院経済学研究科)

日本の医療では社会保険方式が採用され、患者が医療機関で受診すると、窓口で自己負担を支払うが、残りは保険者が医療機関に支払う。このとき医療機関は、レセプトつまり診療報酬明細書によって、保険者に医療費を請求する。レセプトから得られる情報は、患者、医療機関、疾病、入院/外来、歯科、調剤、診療日数、そして診療報酬点数など多岐にわたる。本研究では、平成9年4月から1年間、北海道、千葉、長野および福岡の4道県について、国民健康保険の全てのレセプト約5千万枚を分析した。国民健康保険は、自営業者や無職の人々と高齢者を含む家族を含み、全ての年齢階層をカバーしている。まずデータ全体の記述統計を行い、北海道と福岡に対して千葉と長野が医療費の地域間で差異で対照的なことが、明らかになる。平成9年9月には医療費の改訂があり、それが人々の受診行動にどのように影響したかなど、パネルデータによる興味ある結果が得られた。