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論文要旨

Vol. 50, No. 4, pp. 299-311 (1999)

『市場経済化政策の再検討』
西村 可明 (一橋大学経済研究所)

旧ソ連・東欧において市場経済化が開始されて8年以上が経過した。そして、移行政策に関する多くの事実と経験が蓄積され、これに基づいてそれを分析することが可能になった。その結果、移行政策を再検討する論文が多数発表されるようになっている。世界銀行の『世界開発報告1996年』はその最も典型的なものであろう。本論本はそれを批判的に検討するものである。本稿では、自由化政策とマクロ安定化政策に焦点が当てられているが、その際、主にロシアの経験が考慮されている。その結論は、市場経済化の歴史的先進国においては、自由化とマクロ安定化の政策が他の国に比べてより少なくまたより漸進的に実施され、かつ経済的成長実績がより良いという点にある。