HOME » 刊行物 » 経済研究

論文要旨

Vol. 50, No. 3, pp. 206-217 (1999)

『現代日本の国家システムとシステム改革―行政改革を見る視点―』
奥野(藤原) 正寛 (東京大学大学院経済学研究科/経済学部)

民主化に先駆けて工業化を行う経済開発戦略を「開発国家戦略」として定義した上で、このような戦略が有効に働く経済環境を分析する。途上国段階ではこの戦略はきわめて有効だが、工業化によって成長した国家では、民主化をしない「強権的政府」は一部の既得権益層に「キャプチャー」され、自ら民主化するインセンティブを持たないために経済危機を引き起こしやすいことを論証する。現代日本で進行中の行政改革を、強権国家としての日本政府を民主化するための自発的な動きとしてとらえ、行政改革が強権国家を民主化するために必要な要因を分析する。