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論文要旨

Vol. 50, No. 2, pp. 107-119 (1999)

『近代化は不平等化をもたらすか?―フィリピン稲作農村の30年―』
速水 佑次郎 (青山学院大学国際政治経済学部), 菊池 眞夫 (千葉大学園芸学部)

フィリピンの1稲作農村において過去30年間に繰り返し実施された悉皆調査により収集された長期的データに基づき、そこにおける所得成長のパターンと源泉および所得分布の変化の過程を検討した。この間、年率4%近い急激な人口増加にもかかわらず、1人当たり所得は低下せず、また所得分布の不平等もさけられた、1960年代後半に開始され、それ以降10~15年間にわたる稲作技術の発展、いわゆる「緑の革命」、また近年においては1990年代初頭以降の経済発展に伴う非農業雇用機会の増大が、かかる結果をもたらした主要な要因として特定された。