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後藤 玲子 GOTOH, Reiko

教授 / 経済・統計理論研究部門

 専門分野:経済哲学

 科学研究費補助金研究者番号:70272771

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研究歴

私の関心の1つは「基本的潜在能力」(Sen, 1980)にありました。所得のスペースではなく、効用のスペースでもなく、基本的潜在能力のスペースにおける平等は、「(福祉的・行為主体的)自由」の平等を実現する可能性を秘めています。けれども、その理論的・操作的定式化の方法は自明ではありません。私は、視覚障害者に対する熟議的調査と社会的選択理論の拡張をもとに定式化を行いました。私のもう1つの関心は、ケネス・アロー、ジョン・ロールズ、アマルティア・センの解読を通じて政治経済学の方法とリベラリズムの構想を跡づけることです。中心的問いは次の通りです。政治経済学は「自由の条件」を極め、そのうえでそれを脱構築する理論を提供しえたか。ハイエクそしてケインズ的な福祉国家モデルから、「差異」にセンシティブである多文化主義モデルへの変遷を裏づける理論は何か。センの経済学と正義の構想は、「自由の条件」の到達点とともにそれを超える視点を内包するというのが、私の見立てです。

 

現在進行中の研究プロジェクト

近年、グローバルな普遍秩序が希求される一方で、ローカルな相互性が注目を浴びている。経済学もその例外ではない。従来のミクロ・マクロの理論区分が、普遍秩序に対する両サイド(個と全体)からの接近にすぎず、結局のところ、経済学は高度に抽象的で一般的な理論に回収される傾向にあったとしたら、ローカルな相互性の視点は、個々人の多様な生の状態と多層的な評価をとらえることによって、経済学を揺り動かしたといえるだろう。だが、後者も、前者と同様の方法的前提を無批判に受け入れるかぎり、真に社会制度の構築を牽引する理論とはなりがたい。いま求められているのは、ローカルな相互性を支える思想であり、それをグローバルな普遍秩序と結びつける理論である。私の研究課題は、この社会で現実に苦闘する人々の特殊個別的な生を例外とはしない「一般」理論に向けて、新たな方法的基盤を提示することにある。

 

◎キーワード

ケイパビリティ・アプローチの理論的・実証的展開, リベラリズムと現代正義論の再構築, セン理論にもとづく厚生経済学の方法的展開