6.おわりに

当プロジェクトの研究成果である統計系列は、ひろく活用できることを期待して作成されるのであるから、その対象範囲や性格ができるだけ一般的(非特定的)であることが望ましい。

しかし他方、推計に従事する一人々々は、各自固有の問題意識を持った研究者であるから、それぞれが各自の問題意識に照らしてこの事業に学問的意義を認め、協力して下さっているのである。そこで各人は、おのずと、自己の担当する系列が、全システムの中でどのような位置を占めるかと同時に、自分の課題にとってどのような意味をもつかを考察する等々の知的活動に携わることになるだろう。その結果、この作業の携わらなければ発見しなかったような、あるいは、自明のこととして放置してあったがよく考察してみると本格的な追求に値するというような、新鮮な問題提起に直面することであろう。

ともあれ、このプロジェクトの推計作業が、それ自体として、問題発見的な数々の知的刺激を提供することが期待される。