付 録 1968年SNA抜粋




§2.生産勘定、消費支出勘定および資本形成勘定における取引主体



2−A.取引主体の種類


2−A−a.「産業」の範囲
2−A−b.金融機関
2−A−c.自家生産
2−A−d.公共機関
2−A−e.非営利団体

2−B.取引の担い手に関する産業分類および目的分類













§2.生産勘定、消費支出勘定および資本形成勘定における取引主体



以下、生産、最終消費支出および資本形成に関する勘定グループで使用される経済主体(産業、一般政府、家計に奉仕する民間非営利団体、および家計)の分類について述べよう。









§2.生産勘定、消費支出勘定および資本形成勘定における取引主体


2−A.取引主体の種類

2−A−a.「産業」の範囲

2−A−b.金融機関

2−A−c.自家生産

2−A−d.公共機関

2−A−e.非営利団体











2−A.取引主体の種類

2−A−a.「産業」の範囲



産業の最小単位は、通常、生産コストをカバーできる値段で市場販売することを目的として、財貨サービスを生産する事業所(あるいはそれと類似の単位)である。一般に事業所は、法人ないし非法人企業によって構成されるが、民間の個人、民間非営利団体、政府機関などによって所有(ないし支配)されているものもある。









2−A.取引主体の種類

2−A−b.金融機関



金融仲介機関(市場において負債および金融資産の取引に従事する単位)は、一般の企業と同じ形態ではサービスの販売を行わないけれども、SNAではこれも産業に含める。









2−A.取引主体の種類

2−A−c.自家生産



通常市場で売られる財貨を、家計内で生産している場合もある。かかる自家産出物は、家計の生計にかなりの貢献をする。原則としてSNAにおいては、家計を生産者としては取扱わない。しかし、経済史統計にあってはこの取扱いは必ずしも妥当でなく、家計の自家生産に産業の概念を導入すべき場合がある。後者の場合については、それぞれの個所で、必要十分な注記がなされることが望ましい。

家計および民間非営利団体の自家生産活動のうちには、現代でもこれを産業に組入れるべきものがある。主要例としては、住宅の自家所有、住宅ないし非居住用建物の建設自己勘定、さらに、賃貸住宅ないし賃貸非居住用建物のサービスの提供など。国によっては、家計の自己勘定建設が、住宅、公共の建物、道路、井戸、その他の公共施設の提供に大きく貢献していることがある。

いわゆる第一次産業(すなわち、農業、林業、狩猟業など)の商品の供給は、主として家計の自家生産によって行われていることが少なくない。これらの家計による自家生産活動は、産業として扱う必要がある。もちろん、経済が発展するにつれて、このような生産の相対的重要性は薄れてくる。

上記の第一次産業の生産物以外にも、家計は種々の自家生産を行っている場合(工業、商業など)があるが、かかる活動が(広義の)市場むけであっていわゆる家計的な活動でない場合、とりわけそのウエイトが大きい場合には、これも産業に計上する必要がある。

また、ある家計のメンバーが他の家計に家計サービス(たとえば女中奉公)を提供するような場合には、雇用関係が形成されるのだからこれも産業に計上すべきである。









2−A.取引主体の種類

2−A−d.公共機関



政府機関(または、その事業所ないし類似の単位)のうち、その性質上商品と認められる財貨サービスの販売を主たる業務としているものは、全生産コストにほぼ見合うようにその価値を決定していない場合でも、次の条件が満たされる場合には、産業に含める必要がある。すなわち、

(1)かかる財貨サービスの供給代価が、供給される財貨サービスの量および質と正比例していること、および

(2)その商品の買入れが販入者の自由意思によること。なお、この種の財貨サービスは、民間事業所の生産コストよりも低価格で販売されることが当然あり得る。この種の例としては、農場経営、種々の国有産業、電気業、水道業、鉄道、港湾施設、有料道路、郵便・銀行・その他の金融機関、住宅・建物の賃貸、などがあげられる。

政府の部門、事業所などが、私企業の事業所と同様の財貨サービスを(政府自身の用に供するために)生産している場合がある。軍需工場、修理工場、海軍工廠、印刷局、建築および建設など、かかる副次的な政府活動は、本来の政府活動から分離して公営企業に含めるのがよい。

国立公園、保健、教育、文化、衛生、科学および技術に関する調査ならびに助成など、公共活動に従事する政府諸機関が生産コストに見合うサービスの代価を課さない場合は、公営企業にはあたらない。また、この種の政府機関が、公共サービスの提供に付随して商品販売を行う場合(職業学校で作られた生産物、農事試験場の種子、博物館の絵ハガキなど)、これらの活動を公営産業として分離することは適切でない。取締りの性格をもったサービスの提供に従事する部門(たとえば、パスポートや免許証の発行、運転免許試験、裁判など)は、かかるサービス機関の運営がこれらサービスに対する徴収料金によってまかなわれる場合であっても、これを産業とは考えない。これらの料金は利用者から強制的かつ不可避的に徴収されるものであるから、このような支払いをサービスの代償と考える訳にはいかない。









2−A.取引主体の種類

2−A−e.非営利団体



企業に奉仕する非営利団体のうちには、生産コストが販売収入を超過する場合であっても、産業に組入れてよいものがある。たとえば、技術指導、デザイン、テストなどを行う機関、貿易組合、商工会議所など(ただし、主として政府機関から資金の供給を受け、または支配される場合を除く)。これらの団体のサービスは、これらの団体がない場合には企業自らが行う性格のものが多い。









§2.生産勘定、消費支出勘定および資本形成勘定における取引主体


2−B.取引の担い手に関する産業分類および目的分類



本章の末尾に、取引の担い手の分類体系表を示してある。この分類体系は、

@経済活動の種類による事業所タイプ、および企業タイプの統計単位の分類(第1表〜第2表)、および

A一般政府および家計に奉仕する民間非営利団体の目的分類(第3表〜第4表)に分かれる。

経済活動の種類別分類(事業所タイプの単位)

第1表は国際標準産業分類(ISIC)の改定案を、国民勘定に適合するように修正したものである。この表は、産業の分類ならびに一般政府および家計に奉仕する民間非営利団体のサービスの分類に用いられる。