Out to Lunch!



For June 2006 and after, please click here



May 1, 2006

ハーバード大学名誉教授のJ.K.ガルブレイスが亡くなりました。97歳だから、まあ大往生でしょう。

私がハーバードに留学した頃には、もうとっくの昔に名誉教授になっていました。唯一、接点というか、傑作だったのは、Littauerのおんぼろエレベーターに、ガルブレイス、ロバート・ドーフマン、それから経済学部の秘書の女性と4人で乗り合わせたときのこと。ガルブレイスとドーフマンが互いに「やあ元気か」という挨拶を始めたんですが、これが耳が遠い年寄り二人なものだから、密室なのに声が無闇にでかい。二人が降りた後、秘書が「まったく、あの爺さん達は」とかいうようなことを呟いていました。私が最初に使ったミクロ経済学の教科書の著者だったドーフマンも、そういえば3,4年前に亡くなっているはずです。

ガルブレイスの日本での名声は、80年代くらいがピークだったように思います。私が学部生だった80年代の後半には、まだビッグネームでしたが、90年代に入ると急速に名前を聞かなくなりました。彼の主著といわれる「豊かな社会」や「新しい産業国家」は、正直、ピンときませんでした。面白かったのは「大恐慌―1929年は再びくるか」や、彼にしては変り種の「マネー」なんかですかね。でもAmazonで調べるとは、某宗教団体がらみ以外は、ほとんどみんな絶版。なんだかなあ。読みたい人は図書館で探しましょう。



January 28, 2006

『ホリエモンに意味はない』

去年の5月、ある御歳の先生の言葉尻を捉えて、「みんなホリエモンを買いかぶり過ぎだ」ということを書いた。

今回の逮捕に関する一連の報道に接して、さらにその思いは強くなっている。確かにホリエモンのキャラクターは良くも悪くも面白かったし、私の生涯賃金の20-30倍(?)に相当するであろう富を、5年もかからず稼ぎ出したということについては、正直、羨ましくもあった。

しかしホリエモン自身は、結局のところ何の新味のない起業家・経営者である。彼の出発点はホームページやポータル・サイト関連のIT起業家だったが、この点に関してはアメリカに掃いて捨てるほど先駆者がいる。日本国内に限っても、もっとオリジナリティのある事業を行っていた/いるIT起業家は幾らでもいる。それがプロ野球参入問題の前あたりから、ITというよりは、ネット関係の金融事業+M&Aがメインになったが、結局それも今回明らかになったように、恐ろしく単純な不正会計処理に支えられてのことである。

しかるにメディアでは、新聞・TVの解説委員、評論家、社会学者、作家といった連中が、自分達の「ホリエモン解題」を開陳している。ある時代の象徴的な人物を取り上げて、その人物の性格や生い立ちをカギとして、「時代」を読み解くというのは、こういう人達の使い古されたやり口である。それが有効である場合もあるが、しかしホリエモンにはあてはまらない。ホリエモンに意味はないのだ。獄中に繋がれた経営者という点で、リクルートの江副や西武の堤と比較しても、現在の日本にとって、それが堀江貴文という人物でなければいけなかった必然性は極めて低い。

本当にみなさん方、ホリエモンに過剰な意味を見出しすぎだと思う。むしろ考えなければいけないのは、あそこまで中身がなく空疎でハリボテのような人物が、今の日本では、なぜ時代の寵児であるように見えてしまったのか、あるいはマスコミや世論がそのように彼を祭り上げてしまったのかという点にある。


January 18, 2006

今日は研究会と教授会で、一日、マーケットをチェックする暇がなかったのですがえらいことになってますね。まあ自分自身は持ってた個別銘柄を11月以降、順次売り払って、模様眺めに入っていたんで、結果として非常に上手く売り抜けたということになるんでしょうが。

感想1: マーケット全体にしても、ライブドア単独にしても、ここら辺で大きな調整が入るのは仕方ないところまで来ていたと思います。マーケットだけでなく実物経済も、もう一回後退を経験して完全にウミを出してしまわないと、本当に「失われた十年」と決別することはできないでしょう。そのために必要な景気後退も、97年・98年の金融危機後、2000年のITバブル後のそれに比べれば、はるかにマイルドで済むと思います。それに株式市場がこれだけ派手にコケてくれれば、BOJもそうそう簡単に超緩和的金融政策から離脱できなくなるから、かえって実物経済にとってはプラスの側面が大きいのではないでしょうか。

感想2: TBS問題のときの3木谷氏は思っていた以上にチキンだったし、策もなかった。今回のホリエモンも、思っていた以上に脇が甘かった。証券法の穴を突いて金儲けをするのは、アングロ・サクソン経済ではもっと大手を振ってやっていることなので、それ自体は、別に道義的に非難されるようなことではないと思う。しかし、ここまでリーガル・リスクを軽視していたとは本当にアホじゃなかろうか。3木谷氏もホリエモンも、悪役としても買いかぶり過ぎていた。

感想3: しかし、東証の「処理能力の限界」というのは一体ナンなんだ。まったく情けない。


January 13, 2006

去年の秋に、日経から著者の一人+監訳者として『ポスト平成不況の日本経済―政策志向アプローチによる分析』という本を出しました。いろいろ書評をして頂いたんですが、時事ネタが多くて本全体としての統一性がないせいもあってか、自分の興味のある章についてだけ「私の考え方と違う」みたいな書評が多かったです。

あとネット上での「勝手書評」みたいなのも多くて、年末年始の仕事の息抜きで幾つか拝見させて頂きました。私も翻訳に関わったワインシュタインの達の章は、もとの論文がかなり話題を呼んでいたので、結構いろんな所で取り上げられていました。しかし正直なところ、内容を理解できていないとしか言いようのないHPやブログがほとんどでした。まあ、エコノミストを名乗るのに学位は要らないし、学位があるエコノミストが必ずしもまともなことを言っているとは限らないのですが。

インターネットの普及のおかげで、素人でも情報発信できるようになったのは基本的に良いことだと思うんだけれど、一方で、ノイズの多い/偏った情報ばかりが増えている側面もあって、最近、結構大変なことになっているような気がします。というか、この2−3年で急速にインターネットの情報量が増えたんだけれど、それ以上に、有用な情報に対するノイズの割合が飛躍的に増えたような気がする。いろいろなしょうもない規制が増えたということもあり、90年代半ばからインターネットをやっている人間としては、ある種の不自由感を、最近インターネットに対してはっきりと感じるようになった。



December 31, 2005

今年の後半は、いろいろなことに時間をとられて、かなり研究の方が遅れてしまいました。特に海の向こうの共著者には、(年末年始必死にやっていますが)えらい迷惑をかけております。空いた時間でチャチャとやってしまえない自分も悪いんですが、今年の8月後半から11月にかけてのように、あらかじめ予想を立てるのが難しい種類の用事で時間をぶつ切りにされると、研究のリズムを取り戻すのが非常に難しいです。組織の将来のことも見通して、割り切っていろいろやってきましたが、この半年は自分の負担するべき分を大きく上回って仕事をやってきたという気がするので、来年はadministrative jobは基本的に他の方にお任せして、研究に専念することにしたいと思います。

しかしまあ、この程度の大人しい物言いで済ませるようになったというのは、私も老いたのかなあ。


近況報告:

*「ボーボボ」は一時期停滞していたような感じだったが、裏マルハーゲ帝国編に入ったあたりから、また安定して面白くなってきた。今年のヒットは「怒んパッチ」と、なんと言っても「地雷ダンディ」!!

*アーセナルは相変わらずぱっとしない。ヴィエラがいなくなって、来年、ベルカンプまで本当に引退してしまうと、幾らなんでも厳しいと思うんだけど。ヴェンゲルは、来年こそ誰か大物をとる気なのだろうか。まあその分、CLで頑張ってもらいましょう。

*2005年のMy Album Best 5 (順不同):
- Brandon Ross, Costume, NMLレコーズ
- Paul Motian, I Have A Room Above Her, ECM
- Brad Mehldau, Day Is Done, Nonesuch.
- Wayne Shorter, Beyond the Sound Barrier, Verve.
-
Joe Lovano, Joyus Encounter, Blue Note.



September 21, 2005

結局、MIT Pressの原書より、日本語版のほうが先に出ることになりました。しかし、最初、8月出版のはずだったのにアメリカの出版事情はアバウトですな。


September 9, 2005

しかし最近の『愛ルケ』は凄いですね。ぶっ飛んでます。冬蚊が死んじゃった時点で既にのけぞり気味ですが、その後、ベッドサイドで木籤さんの訳の分からん独白が1週間以上続いてます。

『失楽園』が連載されていたときは、確かアメリカにいて「ナンで日経が、こんなポルノを載せるんじゃ!」とか思っていましたが、この二週間くらいの『愛ルケ』はポルノどうこう言う以前に、もう小説として成立してないようなレベルの低さですね。最近のお気に入りのレイザーラモンの「ハードゲイ、フゥー」のギャグと同じ類の、パロディーとして受け取っています。しかし書いてる本人は大真面目なんだろうな...。まあ経済学者にもいますからねえ、「私はバカです」と公言しているような寒い論文を書く人は...。



July 25, 2005

『ムサコ』とは?

学生時代と就職して筑波大学から移ってきて以降、ずっと中央線で大学に通っているので、私は『ムサコ』と言えば当然、『武蔵小金井』だと思っている。しかるに今年の初め、研究所の教職員全体の懇親会の幹事を務めた際、K先生(前職はY浜国大)に「今回の懇親会は『ムサコ』でやります」と言ったら、「『ムサコ』とは『武蔵小杉』のことだ」と反論されてしまった。でも最近、大学の生協の前で「武蔵小金井自動車学校」が、『ムサコ』を名乗って学生向けの宣伝をしていたので、やはり「『ムサコ』は武蔵小金井だろ」と思っていた。

ところが今日ネットで検索してみたら、最初に出てきたのは、なんと『武蔵小山』。

うーん、なるほど。



May 31, 2005

おかげさまでCLMの翻訳は増刷になるようです。これを機会に、現行版の誤植をできるだけなくしたいと思っていますので、もし間違いにお気づきの方がいたらご一報下さい。

またMIT pressから、プロジェクト全体にかなり深く関わった日本経済についての本が出ます。日本版もそのうち日経から出ますが、こちらもよろしくお願いします。



May 10, 2005

大学関係者というのは、内外を問わず、コツさえ分かっていれば、かなりの確率でネットで居場所を突き止めることができます。ところで高校のクラス会の幹事なもんで、卒業20周年の集まりを企画しているんですが(年齢がばれる)、人探しを始めてみると、専業主婦はあたりまえとしても、一般人の居場所をネットで探すのは結構大変なのね。というか大学の先生が、いかにいろんな情報をオープンにしてしまっているかと言うのが良く分かった。経済研究所なんて生年月日までネットで晒してるんだから、プライバシーも何もあったもんじゃない。


May 9, 2005

マシューと乙葉ですか...。 めずらしく男がもったいないと思ってしまった。


読みたい記事があったので、ここのところ2号続けて習慣旭日を買ったんですが(『恨ミシュラン』の頃は毎週買ってた)、何なんだろうね、あのショボいホリエモンについての連載記事は。というか、マスコミ全体のホリエモンに関する扱いが、過剰と言うか、何だか良く分からない。ネット・ビジネスと経済・経営にある程度興味がある人間から見れば、ホリエモンが革命児でも反逆者でもないことは始めから明らかだと思うんだけど。。。 結局、ある年代(というか団塊の世代)以上の人間の大半というのは、インターネット関連のビジネスの本質が決定的に分かっていなくて、しかも日本のマスコミを牛耳っているのは、今でもその年代の人たちだということなんでしょう。

最近ある年寄りの先生が酒の席で、「でも、ホリエモンみたいのを潰してはいけないと思う」というようなことを言っていたけど、あんなの潰しても、幾らでも替わりは出てくると思う。みんな、ホリエモンに過剰な意味を見出そうとし過ぎ。



April 6, 2005

日本のデフレは「収束」するのか? それともデフレは「終息」するのか?

ハイパーインフレーションなら「収束」させるのでもおかしくないような気がしますが、いまの日本経済に必要なのは"stopping deflation"であって、これはニュアンスとしては絶対に、デフレの「終息」だと思うのですが・・・。「終息宣言」とは言うが、「収束宣言」とは言わないだろうに。

でもサーチエンジンにかけると、圧倒的にデフレの「収束」の方が多い。日経にしてから、記事によって両方の表現が出てくるんだから、始末に終えない。


April 4, 2005

TBSの朝に竹内香苗(全くの個人的趣味)が移ってきたのは嬉しいが、メインがみのもんたでは全く見る気が起きない。もはや私がウィークデイの朝見る番組は、日本にはないのか。。。

というわけで最近は、TVKでsakusakuの木村カエラとジゴロウ。


January 26, 2005

そう言えば一年近くレフェリーをやっていないなと思っていたら、1週間のうちに3本。

津波じゃないんだからさあ...。


January 25, 2005

2004年のJazz Album My Best 5 (順不同):

* Geri Allen, The Life of a Song, Telarc.

* Joe Lovano, I'm All for You, Blue Note.

* Brad Mehldau, Live in Tokyo, Nonesuch.

* Chris Potter Quartet, Lift: Live at the Village Vanguard, Sunnyside.

* John Scofield, EnRoute, Verve.

過半数がライブか。No.1はその時によって変るけど、Mehldauかジョンスコ。

昔、どこかでアッコちゃん(矢野顕子)が、ジョンスコかパット・メセニーかと言えば自分は絶対メセニーだと言っていた覚えがある。私はアッコちゃんはアーティストとしては大好きだけど、自分自身は明らかにジョンスコ派。



December 17, 2004

半年くらい前は「ポッポあやや」にはまっていたのだが、結局getならず。

最近はGE0RGIAの缶コーヒーだが、一橋学内の自動販売機は、私の好みを知ってかどうかは知らないが「加藤あい」ばっかり出てくる。10人中9人が「加藤あい」で、サトエリが1人。糊化は今のところ出てきません。(だからどうしたといわれても困るんだが...)


「加藤あい」と言えば「阿藤快」ですが、『松平健の、'け' と 'ま' を引っくり返して、けつだいらまん』というのは、my favoriteのギャグの一つです。(だからどうしたといわれても困るんだが...。なお、このギャグでHPを作ったアホな人がいるので、暇な人は「けつだいらまん」をYahoo!で検索してみてください。)



August 6, 2004

出版の予定はしばらく前から知っていたのですが、今年に入って出たHarvard時代のクラスメートの本です。

> Jamil Baz and George Chacko
> Financial Derivatives: Pricing, Applications, and Mathematics

Bazの方はPh.D.取得後はずっと実務(Lehman→ドイツ銀行)で、一貫して債券の専門家、Chakoの方はHBSの助教授です。指導教官は二人ともMertonのはずです。

私も注文したばかりで中身は見ていませんが、この二人なら理論・数学面でも、実務との対応という面でもしっかりしていると思いますので、お金に余裕があれば、ぜひ購入してやってください。



June 5, 2004

どちらかというとマドリスタである私ですが、バルセロナ所属のオランダ代表、フィリップ・コクーは非常に好きな選手です。でも、どうやらバルサはコクーを放出してしまうみたいですね。もったいない。コクーを何で気に入っているかというと、プレーも好きなんですが、もう一つの理由は指導教官だったJohn Campbellに似ていること。コクーの顔をもう少し薄めにして、柔らかくするとCampbellになります。

ウチの母親は現在、襲名披露中の市川海老蔵(もと新之助)に入れ込んでおり、テレビに海老蔵が出てくる度に「格好良い」と言って喜んでおります。でも昔から一番好きなのは、中村吉右衛門(鬼平)。これは納得。

ちなみにテレビに出てくる度に、悪口を言っているのがS石M帆。「小賢しいだけ」だとかなんとか、こちらは何でか良く分からん。



April 5, 2004

世間一般では「Nステ、久米降板」が話題であるが、私としてはTBSの朝のウォッチから久保田智子が降板したほうが痛い。個人的には起き抜けに「城戸真亜子と小林麻耶」は少し辛いものがある。朝食に、吉備団子ときのこの山を出されたようなものだ。

フジは相変わらずアヤパンで、これも起き抜けに「雪見大福」状態で腹にもたれる。

個人的希望は,

 TBS: 1.久保田智子復活  2.竹内香苗(全くの個人的趣味)

 フジTV: 1.小島奈津子復活  2.(あえて言えば)梅津弥英子


April 4, 2004

独法化初日、もらった人事異動通知書がいきなり「教授」になっていた。無論、俸給は「助教授」のまんま。

 可能性1: 「独法化したので、御茶目になった大学事務のエイプリル・フール」

 可能性2: 「独法化したのですべてが全能の神の裁量になった。来年あたり、祝迫は学長に指名されているはず。」

 可能性3: 「独法化しても事務の効率化は進まず、人手が減ってミスが増えるばかり」

さてどれでしょう?



Feburary 22, 2004

最近まで、頭の中で2つがつながっていなかったのですが...

2−3年前、広島で日本経済学会の大会があって、その際に広島市現代美術館という所に寄りました。そのときやっていたのが、「ヒロシマ賞受賞 記念 ダニエル・リベスキンド展」という展示です。ちなみにヒロシマ賞というのは、広島市が三年に一度、現代美術の分野で人類の平和に貢献した現代作家に授与している賞だそうです。ダニエル・リベスキンドの方はポーランド系ユダヤ人の建築家で、その出世作はベルリン・ユダヤ博物館とかだそうです。

2003年の前半、私はNYに居て日本から何組も客が来たので、つきあって世界貿易センタービルの跡地は何回も見に行きました。また世界貿易センタービルの跡地をどうするかについてのコンペが行われていた最中で、最終選考まで残ったチームの設計案のミニチュアも展示で何度か見ました。で、結局このコンペでリベスキンド氏の設計案が採用されたんですね。そのことはとっくの昔に知っていたんだけれど、広島でみた展示の人間と、世界貿易センタービルの跡地の設計者が、頭の中で結びついたのはごく最近のことでした。

広島で見たリベスキンドの展示は、単なるシオニズムというのとは明らかに次元が違いますが、しかしナチのユダヤ人虐殺の悲劇というものが思想的背景というか、彼の建築家/芸術家としてのアイデンティティの背後に強くあるのは明らかです。そういう『虐げられたものの平和への祈り』みたいな思想背景に、被爆都市である広島市が共鳴してヒロシマ賞を授与したことは想像に難くありません。しかしそうやって結びついてみると、あそこまでユダヤ人としてのアイデンティティをモロ出しにした作品を作った過去がある人に、反アメリカ=反ユダヤのイスラム過激派によって破壊された貿易センタービルの跡地にモニュメントを建てさせるというのは、いくらなんでも『ホントかよ』と言う気がします。

まあ芸術(建築)と政治は別という考え方はありますが、一方で音楽でも、同じユダヤ人としてのバーンスタインのマーラーへの入れ込み方とか、イスラエルではワーグナーの楽曲が演奏されないとか、いろいろあるわけだからねえ。バレンボイムがそれを敢えて演奏してシャロンに批判されたりとか、そいういことについては日本のメディア/知識人もそれなりに敏感なんだけど、今回のリベスキンドの件はどうなのよ? 日本でも建築関係の連中はあれだけ理屈をこねるのが好きなんだから、誰かこの件に関しても理屈をこねて欲しいもんだ。


Feburary 14, 2004

久しぶりに学部生相手に授業をして期末試験をやった。採点していると『単位が足りないんです』、『卒業研究が忙しくて』等々、久しぶりに学部生の『単位ちょーだい』のお願いの答案が出てきて笑わせてもらった。まあ、この手の「お願い」は効く先生と効かない先生がいるんだけどね。ちなみに私には効きません。なぜかというと、経験的に言って私はどこへいっても、一番成績のつけ方が寛容な部類に入る人間だからです。したがって私が不合格にした場合は、本当に箸にも棒にも引っ掛からないケースです。

あっ、ただし研究者を目指す大学院生は別です。学部生やMBA・修士専修は、最終的には出て行く人だからいいけれど、研究者になっても成功する見込みのない人が長々と大学院に居続けて、貴重な時間を失っていくのは、学生にとっても教師にとっても不幸なことです。研究者を目指す大学院生に必要以上の温情をかけるのは、結局のところその教官の自己満足に過ぎず、実は学生にとっては非常に残酷な結果に終わる場合がほとんどです。

というわけで一橋も
、もうすぐ博士進学試験...。


Feburary 13, 2004

今年もすでに1ヵ月半経ってしまったとは...。

HPのレイアウトはA部ちゃんが、「Netscapeで作った限界が出ていますね」とかふざけたことを言ったので、頭にきて変えました。ちなみに私のHPは、ちゃんとDreamweaverで作っています(使いこなせてないけど)。以前の表紙はミニマリズムっぽいデザインで有名な、某デザイナーのHPのデザインをパクッていたというのに、まったく美的センスのない奴だ。というわけで新しいデザインは引き続きミニマリズム系で、某Jazzレーベル風にしてみました。気分はPatかKeithか。

Jazzといえば、今週の月曜日(2/9)、私の一番好きなJazzミュージシャンの来日コンサートに行ってきました。去年のNYカーネギーホールに続いて今年も彼のライブを聞けるとは、本当に有難いこった。NYに比べると客の反応がいまいち地味で、若干「乗りが悪いね」状態だったけど。しかし、自分の父親よりほんの少し若いだけだというのに、ほんまに元気なこっちゃ。ちなみにカルテットのメンバーのうち、ピアノは私と同い年、ドラムは私より年下。



December 9, 2003

しかし、携帯電話のカメラも本当に進化したもんだ。というわけで、11月末のアメリカ東海岸出張からのスナップ集


December 1, 2003

筑波大学時代以来、ずっと朝はフジの「めざましTV」を見てから大学に向かっていたのですが、小島奈津子がやめてからだんだん見る気がしなくなってきました。といっても、とりたてて小島奈津子のファンだったわけではありません。以前、モー娘。の名前が覚えられなくなったと書きましたが、白状すると、私、中野美奈子とアヤパンの区別がつきません。いよいよ中年化が進行しているのでしょうか?最近はあきらめて、TBSで久保田智子を見てから出勤しています。



November 18, 2003

テレビ話2題

*この前、思いがけず早く家に帰る機会があって、K先生ご推薦の「ボボボーボ・ボーボボ」を見ました。私としてはOKなので、もう少し見てみようかと思いますが、夜7時半はさすがに帰るのがしんどいかな。

*K先生と仲良しのA先生ですが、人の話を聞かないところや、会話をしていると一人だけ微妙に話題がずれていくあたりが、昨日の晩テレビに出て喋っていたシティ・ボーイズのきたろうに良く似ている気がします。



November 17, 2003

仕事柄、英語でメールをやり取りするので、必然的に英語のジャンク・メールも入ってきます。一昔前は、ジャンク・メールはエロサイトの宣伝と相場が決まっていましたが、最近はそれは激減して、もっかの流行は以下の2つ:

@ バイアグラ、ビタミン剤、その他の薬のネット販売

A 『アフリカの某国の元大統領が亡命中で非常に困難な立場に陥っていて...』とか始まって、『大金を動かしたいから受取人になってくれ』、『ついてはオフショア口座を開け』、『そこにお金を振り込むから、受け取ってトランスファーしてくれたら25%を御礼としてあげる』という新手のネット詐欺。これにひっかるアホがいるんでしょうな、信じられんが。ちょっと前はナイジェリアの元大統領だったのが、最近はブッシュに国を追われたリベリアの元大統領がアメリカで不動産を買うのでというふうに、微妙にupdateしています。



October 20, 2003

今年の前半はNYでホケホケしておりましたが、後半はかなり働いております。担当している(いた)授業は以下の3つ:

 *9月中一橋大学ICSで社会人相手の集中講義
 *10月に入って東大工学部で学部生相手の講義
 *同じく一橋大学大学院で院生相手の英語の講義

ICSの講義も前回とはだいぶ中身を入れ替えたし、東大は初めての内容・相手。一橋の大学院は中身は例年と同じだけど、今年から英語で教えることにしました。3つ授業を持っていることもそうですが、3つが全部違う相手というのは、退屈はしないけれど大変な部分もある。相手によって、結構授業スタイルを変える必要があるし。以下感想。

*社会人相手のビジネス・スクール(一橋)
Pros: 出席者は、わざわざ身銭を切って授業に来ているので、とりあえずみんなやる気があるし、質問もちゃんとしてくる。

Cons: 教える内容は結構高度なこともやっているのだけれど、どうしても相手のNeedsに応える必要があるので用意が大変。結果として教え方も広く・浅くなりがち。

*学部生(東大)
Pros: やはりintellectualな成長率は一番高いので、やりがいはある。授業準備は比較的楽だし。

Cons: 筑波時代以来しばらく学部生を教える機会が無かったので、授業中の私語というのは久々の経験。まあ私自身は教師として、
学生が寝ているのも授業途中で出入りするのもあまり気にしないタイプなのだけれど、学部生は(社会人なら)お前その場所では寝ないだろう・そのタイミングでは出て行かないだろうという勘所が分かっていないので、結構ウザイことは確か。授業態度そのものは、今のところ東大も筑波とたいして変わらない感じ。

*大学院生(一橋)
Pros: やっている内容が自分の研究に近いので、「教師」を演じる部分は一番少なくて済むので、ある意味では楽。学生はとりあえず真面目だし。無論、教えている内容は一番ハードで、教え方も厳密なので、その意味の大変さはある。

Cons: やっぱり教育プログラムとして、アメリカとの落差の大きさを痛感させられるのが研究者養成のための授業。といっても、学生というよりは教える側の問題。
経験から言うと、筑波でも一橋でも一番よくできる学生は、間違いなくアメリカのトップの大学院で通用するのだけれど、学生の出来・不出来の差が激しいので(というか、それだけ今の日本の大学が節操無く合格させているので)、結果としてレベルは多少落とさざるを得なくなっている。また修士1年目前半のコースワークの内容が年によって結構変わるし、教官同士のコーディネーションが上手く出来ていないので、アメリカの授業だったら当然prerequisitesであることを自分の授業でカバーせざるを得ない部分が出てくる。みんなどちらかといえば教える側の不備の問題で、学生に罪はないのだけれど。

学生に一つだけ文句を言っておくと、私の授業は基本的には単位をとって宿題を真剣にやらないと、座って聞いているだけでは身にならないと思うんだけどね。



October 2, 2003

この前、某コンファレンスで林文夫氏に「祝迫さんは歌舞伎の悪役のような顔だ」といわれた。

NYでは、地下鉄の42nd st.駅で乗換えを待っているとき、ヒスパニック系の人からスペイン語で話しかけられるという経験が3−4回あった。

俺は一体、どんな顔をしているんだ?




September 10, 2003

漫画二題

@ 西荻窪の駅前の不動産屋の出物を見ていたら、「マリネラ・ハイツ」なる名前のアパートがありました。どういう理由でこのネーミングになったのでしょう?

A 「ボボボーボ・ボーボボ」が、この秋からアニメになるそうです。といっても、私、この漫画のことは全く知りません。隣の研究室のK先生が、しばらく前に「少年ジャンプの連載で、現在一番面白いのはこれだ」と言っていたというだけです。まあ、とりあえず1回くらい見てみようかと思います。


コロンビアみやげ話(その3)

NYで見た映画評 (満点=*5つ)

007 DIE ANOTHER DAY / ピアース・ブロスナン; ハル・ベリー
個人的な意見としては、前作の『WORLD IS NOT ENOUGH』がピアース・ブロスナンになってからは最高だったので、それに比べると荒唐無稽さが度を越してて、かなりがっかり。
評価=**

TERMINATOR 3: THE RISE OF MACHINES / アーノルド・シュワルツネッガー
まあ前二作を踏まえて作ると、こうならざるを得ないのかな。1・2に比べて、エンディングの持つ意味合いがかなり暗めなので、見終わってスッキリする映画ではありません。
評価=***

HULK / エリック・バンナ; ジェニファー・コネリー他
ある映画評によると、HulkとJohn Nash(ビューティフル・マインド)は似たような人物だそうな。
 *天才科学者である主人公が、自分の中に「怪物」を抱え込んでしまう
 *軍と対立することになってしまう
 *HulkもNashも、支える/愛する女性はジェニファー・コネリー
映画としては前半はかなり良いんだけれど、後半に入って宇宙に飛んでいってしまうあたりから、ちょっと訳が分からなくなってしまう
評価=***

CHARIE'S ANGELS: FULL THROTTLE / キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー
まあ何かを期待して見に行く映画ではないので、これはこれで良いのではないかと。 1時間半ほど脳みその中身を空っぽにして、リラックスするということで。でも、キャメロン・ディアズが降りたら、このシリーズは客が入らなくなって続かないだろうな。
評価=***

MATRIX RELOADED / キアヌ・リーブス他
映像はすばらしいが、オリジナルのMATRIXの基本的なアイデアにとって代わるようなものはないので、そのぶん新鮮さ・ショッキングさが劣るのは否めない。まあ、でも3本目を見ようかという気にはしてくれる。
評価=****



September 6, 2003

ニューヨークに行っている間に、また入れ替えがあったらしくて、とうとうモー娘。のフルメンバーの名前が言えなくなってしまった。



August 31, 2003

コロンビアみやげ話(その2)

NYのTimes Squareには、牛丼の吉野家があります。試しに食ってみた感想としては「肉が多すぎる」。やはり日本料理というのは、バランスが大事なのですね。



August 31, 2003

コロンビアみやげ話(その1)

私があちらにいる間に、一橋出身の某大臣が自民党にいじめられて辛いので、近いうちに辞職してその後アメリカの大学で教えるらしいという記事が出ました。最初に出たのはNY Timesで、その後ちょっと時間をおいてから日本のマスコミが騒ぎだし、その時点では行くのはコロンビア大学だということになっていました(私が読んだのは文春の記事)。

この件に関して、私のよく知っているコロンビアの某教授曰く「NY Timesの記事もおかしな部分は多いんだけれど、その後の日本の新聞・週刊誌の記事はさっぱり訳が分からん。だって日本のマスコミは、僕を含めたコロンビアの教授陣の誰にもコンタクト・確認していないのに、『コロンビアに行くことになっていて契約も済んでいる』って書き立てているんだから。日本の大新聞は何でちゃんと確認しないんだ。」 私が読んだ文春の記事も、アメリカの大学の人事契約を少しでも知っている人間なら、こんなことはまずあり得ないとわかるようなことが書いてありました。

で、何が言いたいかというと、
@ 日本のジャーナリズムは、朝日ならNY Times、日経ならFinancial Timesというように、自分達もそういうステイタスを得たいと仰ぎ見ているような欧米のジャーナリズムにはとことん弱い。
A これは幾つかの個人的経験で確信になりつつあるけれど、船橋洋一のような各社に何人かずついる少数の例外を除けば、日本のジャーナリストのかなりの連中が実は外国語が全然できない。


August 8, 2003

今週、ニューヨークから帰ってきました。時差ボケがつらい。おまけに、帰りの飛行機の中で寝るつもりだったのが、機内のビデオでロード・オブ・ザ・リング「旅の仲間」と「二つの塔」を立て続けに見てしまった。一本3時間で、合計6時間。ついでにダイジェスト版「フランダースの犬」まで見てしまったので、機内ではほとんど寝ていない勘定になる。どうりでまだ眠いはずだ。ANAのCMではないが、お前らサービス良すぎるぞと文句を言いたい。



December 22, 2002

1月の初めから7月一杯くらいまで,サバティカルでColumbia Business Schoolに行きます。現在の職場にもう少し余裕があれば1年くらい行って来たいのですが,いろいろあって今回は半年にしました。
 また来年の1月からしばらくの間,東京大学工学部の助教授を併任することになりました。秋から学部3・4年生と大学院修士の学生を主な相手に,コーポレート・ファイナンスやリアル・オプションを教えることになります。要は御給料の変わりに,研究費を潤沢にもらってやる非常勤講師みたいなもんですね。


December 6, 2002

映画版『トリック』を見てきましたが,公開からずいぶん経っているのに結構客は入っていました。内容は,個人的にはB+といったところ。TVシリーズでは1つのエピソードに1人の敵役が出てきて,その敵役のキャラクター・存在感によって面白さが結構左右されます。映画の方は,敵役の竹中直人・石橋蓮司・ベンガルがそれぞれに怪演していますが,それぞれの描写にあてられた時間が短すぎて,結局,中途半端。あと,真犯人が判ってからの展開はちょっとミエミエ。悪くは無いけど,TVシリーズほどの緊張感やマニアックな面白さはない。




December 2, 2002

最近,めずらしくレフェリー・レポートを1週間以内で速攻で書き上げて送り返したジャーナルから,今度は1週間の内に2本論文が来た。恩を仇で返すつもりか。ちくしょう、グレてやる。



November 29, 2002

最近,同僚のO氏に「祝迫さんは教授会での暴言が多い」と言われました。筑波時代はK井さんに「祝迫さんは全方位外交だから大変だね」と言われました。

 解釈その1:祝迫は母校に戻って態度がデカクなった。
 解釈その2:周りの環境が変わった。筑波と経済研究所の教授会の上下関係・慣行の違い。

私は後者だと思うんですが。態度がデカかったのは昔からなもので…。



私のかつての恩師は,独身のまま30代後半に突入しつつある弟子を思いやって女性を紹介してくれようとする易しい方です。でも先に世話をして上げた方がいい,私の先輩は他にもっといるので,「とりあえずこいつは片付きそうだ」という認識なのも確かなようです。たまに一緒に飲むと「一度,仲人をしてみたい」とか言います。バイタリティーはたいしたものですが,IMF高官とか副財務官とか他人にはできない経験を散々したんだから,別に仲人くらいやんなくてもいいと思うんですが…。



サッカー話その1:
もうすぐTOYOTAカップです。かつてレアル・マドリーにいたユーゴ代表のミヤトヴィッチと,Simply Redのボーカルは似ていると昔から思っているのですがどうでしょう? あまりにマニアックすぎる話で,普段の会話で誰に同意を求めたらいいか分からないので書いてみました。

サッカー話その2:
レアル・マドリーといえば,私の一番好きなサッカー・プレイヤーはレアル/スペイン代表のラウールです。今年の夏,W杯フィーバーのついでにスペイン代表のユニホームを買って着ていました。精悍な顔つきがラウールに見えるかなと思っていたのですが,体重の問題と,元々えらい癖毛なので,鏡に映っていたのは同じスペイン代表でもバルサのプジョルでした。基本的にリーガではマドリーを応援しているのですが,それ以来,ライバル・チームでもプジョルだけは応援しています。あとダイエットも始めました。



November 21, 2002

サイバラ理恵子ファンの私としては,『ぼくんち』が映画化されるという噂を耳にして気になっていたのですが,映画の「かの子」の役はなんと観月ありさ。なるほどそうきたか。
ところで原作の漫画で「かの子」たちが家を追い出される時に,追い出しに来たヤクザが寝ている「かの子」を見ながら弟二人しゃべる内容は,まさにヤクザ業界における「流動性」の概念を見事に表していると思います。筑波時代に,何度か学部生相手の金融論の授業で使おうと思ったのですが,さすがの私もセクハラで告発されたらどうしようと思って,結局使わずじまいでした。(エピソード自体は『ぼくんち』の第1巻に入っているはずです。)


サイバラ漫画と言えば,西原ママの「人はひと,我は我,されど仲良し」という口癖は,教授会に出るときの最近の私の標語です。
学生時代,筒井康隆の『文学部唯野教授』を読んで大笑いしていましたが,同時に「まさか」と思っていました。自分が大学教師になってみてつくづく感じますが,あの本はノンフィクションなのです。これから学者を目指す院生は,ぜひ読んでおいた方がいいです。やめるなら今のうちです。